オワハラとは?本当に怖い就活終われハラスメントの実態と対処法

就活終われハラスメントの実態と対処法

就活終われハラスメント(略してオワハラ)という言葉を知っていますか?

企業から内定をもらったとしても、実際に雇用契約を結んで働き始めるまでは安心できません。就活をしていて就職支援を担当して10年になりますが、オワハラ被害に遭った学生を何人も見てきました。

そこで今回は実際にあったオワハラの実態と対処法をお伝えします。


オワハラって、そもそも何のこと?

2015年の流行語大賞にもノミネートされた「オワハラ」は、正式名称を「就活終われハラスメント」と呼ばれています。

オワハラとは、企業側が就職生に対して、内定を出す代わりに就職活動を終了することを強要する行為です。最近では定義がよりあいまいになる傾向にあり、内々定と引き換えに就職活動を停止することを強要することもオワハラと呼ばれています。

昔からあったオワハラ

私が大学生の就活支援に携わって10年になりますが、上記でご紹介したような「オワハラ」の定義に該当する行為は、ここ最近になって始まったことではありません。

就職氷河期と呼ばれていた1990年代のバブル崩壊後から2005年前後にかけては、わずかな新卒枠に大勢の就活生が押し寄せるため、就活生に困らない企業はオワハラをする必要もなく、企業側は売り手市場でした。

ところが、2006年頃から徐々に景気が回復の兆しを見せてきたことによって、新卒求人も増加します。すると、今度は就活生が売り手市場となって、企業側は優秀な新卒欲しさにオワハラをせざるを得なくなってしまったのです。

この傾向は2006年から2017年現在にかけて見られますが、特に今年はバブル期以来の就活バブルで、早く優秀な人材を確保したい企業が就活生にオワハラをかける可能性が高くなっています。

なぜ今「オワハラ」が注目されるのか

ご紹介してきたように、オワハラは2006年前後から見られる現象でした。ところが、最近の「○○ハラスメントブーム(モラハラ、マタハラ等)」に乗っかって、「オワハラ」という言葉が生まれ、注目されているのです。

2015年の流行語大賞にノミネートされて以降、今ではスタンダードな就活用語になりつつあり、社会的に問題意識が高まっています。就活生だけではなく、就活生の保護者からの注目も高まった結果、ついに文部科学省もオワハラの実態調査へと乗り出したのです。

文科省の調査でわかった!オワハラの実態

文科省が発表した就活生のオワハラ「生の声」

文科省は『平成27年度就職・採用活動時期の変更に関する調査の結果について』という報告書を作成しました。

これは、就職問題懇談会(大学等卒業予定者の就活の在り方について検討・協議を行う国公私立大学、短大、高等専門学校関係団体による組織)と共同で、文科省が大学と短大における学生の就職・採用活動時期について行われたアンケート調査の結果報告です。

この報告書によると、学生側から見てハラスメントと感じられるような行為をされていたと感じた学生は全体の5.9%でした。ハラスメントは内々定を出す際に行われる可能性が高いことも報告されています。

こんなことも言われた!オワハラの具体例を紹介

では、実際にハラスメント行為を受けたと感じた学生の具体例をご紹介します。

  • 内々定と引き換えに他社への就職活動をやめるよう強要された
  • 内定後、7月31日までに入社承諾書を書くかどうか迫られた
  • 内定承諾は先着順、および承諾する際は必ずリクナビ退会
  • 何度も呼び出し(泊まりを含む)をされ、他社の選考を受けられなくなった
  • テストの関係で内定祝賀会への参加が難しいと答えたところ、参加しないと最悪内定取り消しもあり得ると言われた

この他にも、内定承諾するなら就活をやめるように直接言われたり、第一志望でないのなら別の学生を次の選考に進ませると言われたなどの報告も上がっています。

企業側からするとオワハラは単純な「悪」とは言い切れない

就活生としては、内定をいくつか取っておいて、その中から最も自分に合った企業、理想に近い企業に就職したいという気持ちで、やむを得ず内定辞退をする学生もいるでしょう。

ところが、企業側から見ると、内定辞退は想定の範囲内とはいえ、様々なデメリットが生じるためにできるだけ避けたいことなのです。

たとえば、第一次、第二次選考と選考のために時間と費用を使ってせっかく優秀な新卒を獲得したと思ったのに、その新卒が他社へ次々と流れて行った結果、採用試験をやり直したり、不採用になった学生に声をかけたりと、不必要な手間が生じるのです。

このような手間を減らすために、オワハラと呼ばれるような言動をやむを得ずしてしまう企業もあります。内定辞退は悪ではありませんが、オワハラをする企業の視点にも立って、内定辞退の際のマナーには十分に気を付けましょう。

オワハラは違法?悪質なオワハラに遭ったら…

オワハラって合法?違法?

セクハラ、モラハラなども、度を越えると違法行為になる可能性が高くなるように、実はオワハラも程度によっては「違法」となる可能性があります。

ただし、以下のように「あまりにも強い働きかけを就活生に対して行った」という行為の水準の見極めが難しいところです。

オワハラが違法行為になる場合

たとえば、就活を終えるように言われただけではなく、強い語気で「内定辞退後、他の企業に就職したら、訴えてやる!」などと言われた場合は、脅迫罪(刑法222条)に該当する恐れがあります。

脅迫罪とは、脅迫罪とは、相手に恐怖心を生じさせる目的で相手方又はその親族の生命・身体・自由・名誉・財産のいずれかに対して害を加える旨を告知することによって成立する罪です。

また、上記のような言動を伴って、就活生に土下座を強要させたりした場合、強要罪(刑法223条)に触れている可能性もあります。強要罪とは、生命・身体・自由・名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害することです。

これらの刑法に触れている場合は、訴訟を起こすことも可能ですから、録音テープや書面などに記録を残しておきましょう。

まとめ

冒頭でご紹介した文科省による大学や短大の調査では、68.3%が就職に関するオワハラ周辺の問題について、学生からの相談を受けています。

つまり、オワハラは人ごとではなく、あなたにも十分に起こり得る問題だということです。

就活生が売り手市場の今、企業側がオワハラをせざるを得ないという現状もあります。

しかし、だからと言ってオワハラは世間一般的に認められる行為ではありませんから、就活をしていてオワハラをしてくるような企業があれば、それまでの企業だと思って、その後の対応を慎重にすすめましょう。

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