教職課程をとる大学生の中には、教員志望の人や単に資格として教職をとろうと考えている学生がいると思いますが、テクノロジーが発展した現代において教職をとるメリット・デメリットは何なのでしょうか?
テクノロジーの進化が教育現場に与える影響
数年前から、グローバルな社会へ対応できるようにと、英語教育を開始する学年を早めることや、高校での英語の授業では日本語を一切使わないなどの取り組みがなされてきました。
その次に教育に革新をもたらすものとして近年注目されている分野としてはITテクノロジーが挙げられると思います。テクノロジーの発達を利用し、教育現場でもタブレットの導入がされ始めています。
また、小学生や中学生であっても、スマートフォンを持ち、インターネットを大人と同様に使うことができる時代になりました。
そこで新たに発生した問題として、SNSや通信アプリを使ったいじめなどがあります。学校は勉強だけではなく、社会的な規範など生活全般に関わることも教えていかなくてはなりません。
そのため、自分が小学生や中学生、そして高校生だった頃に教わってきたこと、大学の教職課程で学んだことを教えるだけではなく、時代に合わせた指導が必要となってきました。
今、教職をとるメリットは何か?
機械化・自動化が進められている現代において、教職をとることは時代遅れなのでしょうか。決してそんなことはなく、大きな意味のあるものであるということを以下の2点に注目し、紹介していきます。
1.教員として働くやりがい
テクノロジーの進化によって生活が便利になった反面、人と人との対話が減っていると考えられます。
教職をとることで、生徒の成長を手助けする、人との対話が大切になってくる教師という職業に就くという選択肢が増えるメリットがあります。
2.教職課程を通して得られるスキル
教職科目の多くはアクティビティを含む授業も多く、グループワークなどを取り入れています。そのため全く違う学部の、その授業でしか一緒にならない学生とグループになって課題をこなすことも多々あります。
さらに教育実習や中学校の教員免許を取得する場合のみ必要な合計7日間の介護実習など、その場で出会った年齢の異なる人たちと即座に円滑なコミュニケーションをとる必要に迫られることもあります。
教職をとると、自然のコミュニケーション能力がついてきます。コミュニケーション能力は社会で最も求められるスキルであり、教員にならずとも一生役立つスキルとなります。
教員になるデメリットは何か?
教員免許を取得することは決して簡単ではありませんし、教員になってからも多くの困難が待ち受けています。そこで、以下の2点に注目し、教職をとり、教員になるデメリットを紹介していきます。
1.教職科目は卒業単位としてカウントされない
絶対に教師になるという意志のある学生なら問題ありませんが、教員志望ではないけれど、教職課程をとっている学生は注意しなければならない点がいくつかあります。
教職科目は卒業に必要な単位としてカウントされないため、なんとなくといった気持ちで教職課程をとると負担が大きくなってしまうということです。
また、就職活動が一番活発になってくる大学4年の5月・6月に2・3週間教育実習にいかなくてはならないということです。教育実習の1年前から受け入れ先の学校の先生方は準備を進めてくださっているので辞退することはできません。教育実習に臨むのなら、その期間は就職活動ができないと考えた方がいいです。
大学の授業も出られないので、遅れを取り戻すことが大変になります。出席率に関しては、大学の先生に事前に事情を説明しておけば、欠席扱いにはならないので安心してください。
2.教師は重労働低賃金である
教員となってから直面する苦難として第一に挙げられるのは激務であることです。学校の先生は授業が終わってから部活の指導、その後事務作業をすることになります。
さらに、平日が激務なだけではなく、土曜日や日曜日も部活の練習や試合の引率などで休みがない状態になってしまいます。にも関わらず、給与は高くありません。
また、昨今ニュースなどでも話題となったモンスター・ペアレントの存在が教員にとって大きな負担になっていることも忘れてはなりません。教師を目指すのであれば、理不尽な要求を突き付けてくるモンスター・ペアレントに屈しない覚悟が必要になります。
教員が精神的に不調になるまで追い詰めてくる場合もあるので、自分一人で抱え込まずに周りの先生に相談するなどの対策も取っていくことが大切です。
まとめ
教員免許を取得するための介護実習や教育実習はかなり早い段階から申し込み、準備を進めなければなりません。大学4年間できっちりとスケジュールを立て、教職科目と自分の専攻科目の単位を取得していく必要があります。
そのためには大学入学時に明確なビジョンを持って履修プランを組むことが大切です。また、教員免許を取得することも、教師となって働くことも非常に大変なことです。生半可な気持ちではなく、教育に対しての本当の熱意がなければ続けられるものではないということを認識してもらえたらと思います。
そして、いくらテクノロジーが進化したからといっても人間にしか教えられないこともあります。そういったことを教えていくことが教師としての醍醐味なのかもしれません。