テクノロジーは指数関数的な成長を遂げていて、私たちの生活は日々便利になっています。
その変化は革命的で、第四次産業革命だとか、インダストリー4.0、シンギュラリティという言葉や、人間の仕事は機械に奪われるという話くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
今回は将来どんな仕事をするにしても知っておきたい、ここ10年くらいで言われているテクノロジーのトレンドを紹介していきます。
就職先を決める時は、こうした技術の活用にどれだけ取り組んでいるかも大事な要素として捉えてみると面白いと思うので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
AR(拡張現実)|現実を1,000倍面白くする技術
ARはAugmented Realityの略で、日本語では拡張現実と呼ばれます。現実の風景にバーチャルな情報を重ね合わせることで、目に見える世界に新たな情報を付与することができます。
現在はスマホを通じての使用が一般的ですが、おしゃれなスマートグラスが出来てくると爆発的に浸透してきます。
事例
- エンターテイメント
位置情報でポケモンを視覚的に出現させる|PokemonGo - 物流
視覚的に道案内や作業手順の提示|ARピッキングシステム - インテリア
購入前に家具をARで設置・空間をARで改造|IKEA Place
VR(仮想現実)|非現実的な自由が手に入る
VRはVirtual Realityの略で、日本語では仮想現実と呼ばれます。ヘッドマウントディスプレイなどを利用して感覚をデジタル情報に接続することで、非現実世界に没入することができます。
ARは現実世界にバーチャルな情報を重ね合わせるのに対して、VRでは非現実世界を現実のように感じさせるものです。正反対のアプローチですが、その境界線はだんだんとなくなっていくと考えられています。
AR・VRは、SAO(ソード・アート・オンライン)というアニメ(映画版も)を視聴するとよく理解できます。まだ観たことがない方はぜひ。教育系企業や教職を目指している方はバーチャルラーニングについても理解をしておいた方が良いかも。
*バーチャルは視覚情報だけだと考えている人もいますが、五感全てを仮想現実に書き換えることも可能です。
AR・VRの通信には膨大なデータのやりとりが必要です。2020年に実用化がされると言われています。スマホ通信では現在LTE通信が最速ですが、5Gはその1,000倍の速さで通信ができます。
事例
- エンターテイメント
仮想空間で身体性を保ったまま遊べる|Playstation VR - 教育
仮想現実で身体性を伴った学習 - 医療
仮想現実での手術デモ・病院の外に出られない患者に外の世界を知ってもらう
3Dプリンター|何でも思い通りに整形できる
3Dプリンターは、その名の通り3DCGデータを元に立体物を出力する機材を指します。動的に加工しやすい素材であればなんでも手頃な価格で創作できてしまうため、シンプルだからこそ応用しやすく、様々な業界で革新的な変化を生んでいます。
例えば、飲食業界では3Dプリンターによって「カプセルに入った粉と油で食べ物を作る」時代が来ると言われています。
事例
IoT・IoE|すべてが、インターネットと繋がる
IoTはInternet of Thingsの略で、日本では『モノのインターネット化』という言葉で知られています。(似た言葉にIoE(Internet of Everything)もあります。)例えば、自宅にある冷蔵庫とインターネットを繋げたらどのようなことができるでしょうか?
買い物の途中でスマホから冷蔵庫の中身を確認できれば、買い忘れや不要な買い増しすることがなくなりますし、通販と繋げれば足りなくなってきた食材を自動で購入するシステムも作成できます。
このように、IoTによって身近にあらゆるものがインターネットと繋がることで機能が拡張し、どこにいても管理できるようになります。衣服・靴・帽子・下着・オムツなどの装飾品もテクノロジーとの融合が進んでいます。
IoTをエネルギーや生活インフラの管理に用いることで、生活の質の向上や都市の運用及びサービスの効率向上、そして都市の競争力をつけ、現在と次の世代が経済・社会・環境の観点で需要を満たすことができるような都市のことです。|Sustainable Japan
事例
- 家電
コインランドリーの稼働状況を把握|ITランドリーシステム - 農業
センサーで作物の状態を取得し、タブレット上で管理|FUJITSU - 便利グッズ
外出先でペットの様子をスマホからチェック(カメラを自在に動かせる)|Qwatch
ウェアラブルデバイス|身体とコンピュータの融合
ウェアラブルデバイスは、身体に装着する形で持ち運び利用するコンピュータのことです。スマートフォンの利用は、ポケットから取り出して起動して任意のアプリを開いて…と面倒ですが、ウェアラブルデバイスは体を動かすように直感的な操作が可能です。
事例
- 腕
腕時計型デバイス|Apple Watch - 目
コンタクトレンズ型デバイス|スマートコンタクトレンズ - 指
指輪型デバイス|Motiv
ブロックチェーン・仮想通貨|インターネット以来の革命的発明
ブロックチェーンは分散型台帳技術と呼ばれる、情報を分散して保管することで偽造・改竄を困難にする技術です。仮想通貨で知られる技術ですが、実は決済通貨とブロックチェーンの相性は必ずしも良くはありません。
(決済は瞬間処理が望ましいものの、ブロックチェーンの台帳決済は時間がかかる上にスケーラビリティの問題も抱えていたりするため。また、仮想通貨全てがブロックチェーン技術を採用しているわけではない。)
とはいえ、ブロックチェーンはあらゆる契約・情報管理を安全かつ効率化し、仮想通貨は金融システムを根本から変える可能性を秘めています。
クラウドコンピューティングはネットワークを経由して外部サーバーからサービスを利用すること。P2Pは端末同士で分散型の巨大サーバーを駆逐し、ネットワークを経由して情報を共有する仕組み。
事例
AI(人工知能)|人間を超越する知能の出現
AIは、Artificial Intelligenceの略でコンピュータ上で人間らしい思考・判断をするよう設計されたシステムのことです。現在は第3次ブームと呼ばれ、ディープラーニングにより経験から学び、状況に応じた柔軟な判断ができるようになってきました。
事例
- エンターテイメント
将棋で人工知能がプロ棋士に勝利|PONANZA - 自動車
自動運転で目的地に素早く安全に到着|WAYMO - 音声認識
自然な会話をしながら連携プロダクトを音声操作|Amazon Echo
ビッグデータ|処理しきれない情報の中から価値を見出す
ビッグデータは、一般的なデータ管理・処理ソフトウエアで扱うことが困難なほど巨大で複雑なデータの集合を表す言葉です。世界に存在する情報のほとんどは、以前としてデジタル化されていません。
ですが、ビッグデータを収集して人工知能に学ばせることで、人間が行ってきた作業を、より高いレベルで機械に任せることが可能になってきます。
量子力学を利用して作成されたコンピュータ。従来のコンピューターより1億倍以上の処理速度を実現すると言われている。あと数年で実用化される。
事例
シェアリングエコノミー|何でも共有する時代
シェアリングエコノミーは、ユーザー同士でプロダクトやサービスなどを共有・交換する仕組みを指します。昔から友達同士でゲームを交換したり、近所同士で不要になった子供の洋服をあげていたりしてましたが、ソーシャルメディアによってそれが社会全体に広がってきました。
資産を他人と共有することで、かかるコストを大幅に抑えることができるので、あらゆる業態で広がりを見せています。
事例
そのほか
- ロボット
- ドローン
- 宇宙ビジネス
- ニューロリンクシステム
- デザイナーズベイビー
その他にもこうした技術など、既存社会を変えていく技術が現実となってきています。
既存産業とテクノロジーの融合による産業改革
テクノロジーは、それ単体では何の役にも立ちません。何も活用するかが問われます。
そこで『〇〇テック』という言葉が注目されています。
- FinTech【金融×テクノロジー】
仮想通貨の普及、金融システムを中央集権から非中央集権へ移行など… - EdTech【教育×テクノロジー】
オンライン教育の拡充、AR・VRを用いた教育改革など… - RetailTech【流通×テクノロジー】
スマートグラスによる流通網の可視化など… - FashTech【ファッション×テクノロジー】
3D化された自分の身体情報に衣服を着せて試着をするなど… - AdTech【広告×テクノロジー】
AIによる広告の自動運用やVR・ARを活用した最新広告など… - RETech【不動産×テクノロジー】
スマートロックシステムやVR不動産、スマートコントラクトの導入など… - MarTech【マーケティング×テクノロジー】
マーケティングオートメーションやCRMの自動化など… - MedTech【医療×テクノロジー】
3Dプリンターによる臓器作成、VR医療、ナノテクノロジーなど… - HealthTech【医療・ヘルスケア×テクノロジー】
健康管理に加え、病気やガンの早期発見など… - AgriTech【農業×テクノロジー】
IoTやドローンを活用した農業の効率化・自動化・低価格化など… - FoodTech【食×テクノロジー】
昆虫食、完全食、擬似肉、料理の3D出力、人工知能の調理アシスタントなど… - SportTech【スポーツ×テクノロジー】
選手データの動的な可視化、ドローンを活用したトレーニングや試合中継、ピッチの整備など… - HRTech【人事×テクノロジー】
人工知能による面接、採用、人材管理など… - LegalTech【法律×テクノロジー】
法律・裁判業務の自動化など… - GovTech【政府×テクノロジー】
ブロックチェーン技術による民主化の可視化、業務の自動化など…
0または無限大への収束
テクノロジーの先にあるのは限界効用が0または無限大に収束する社会です。人間のやることはなくなっていくものの、生み出される価値は超高速に増えていきます。
そんな社会では、現在存在しているほどんどの企業が不要であり、ここで紹介した技術を取り入れていかない企業は衰退していく可能性が高いです。
就職の際は、その点を踏まえて、可能であれば最新テクノロジーの研究・開発・実装に関わっている企業に就職しましょう。そこで得られる知識は今後もずっと役立ちます。
変わる世界を創造しよう
テクノロジーの普及には10年単位の時間が必要ですが、現在は最新のテクノロジーが次々と実用段階に入っているので、10年後には今回紹介したかなりのものが生活に浸透しているはずです。
そして現在の私たちはそうした変化を自らの手で進めていくことができます。
ただ時代に流されていくだけではなく、時代を作っていく側に回りたいのであれば、テクノロジーに友好的な企業を選ぶことをおすすめします。