社会人になったら収入も生活も安定させたいと思う方は多いのではないでしょうか。
将来に不安を感じている人ほど安定志向であることが多いですが、実はその考えは危ういかもしれません。今回は、5つの観点から就職の時には会社が倒産した時のことを考えなければならない理由を書いていきます。
この記事の目次
就職では安定よりも会社が倒産した時を考えるべき5つの理由
- 会社の寿命の短命化
- 労働の自動化と効率化
- 国外労働者や外国人労働者の増加
- リストラの危険性(あなたが経営者だったら?)
- 就活人気ランキングは10年後には大変化
1.会社の寿命の短命化
日本一のマーケッターである神田昌典氏は、著書『2022-これから10年、活躍できる人の条件』でこのように述べています。
「2024年、会社はなくなる!?」
神田昌典氏『2022-これから10年、活躍できる人の条件』より引用
これがどういうことなのかというと、2024年に会社自体がなくなるわけではなく、会社という組織概念が変わるということを意味しています。
会社の平均寿命が短くなることで、会社に属してもすぐ倒産してしまうから会社に属して働くことそのものに大きな変化が来ているわけです。近年では、ノマドやフリーエージェントなどの新たな働き方が数多く提唱されています。
【企業の平均寿命】
1970年初 約50年
1983年 30年
1997年 12.5年
2008年 10.5年神田昌典氏『2022-これから10年、活躍できる人の条件』より引用
今の会社の平均寿命がどれくらいなのかというと、確実に10年は切っており、一説では「もはや3年」だという見方もあります。こう考えると、40年間働けるような会社に就職しようとすることは無意味な気がしてくると思いますがどうでしょうか。
2.労働の自動化と効率化
技術革新によって多くの労働はロボットやITによって自動化と効率化されていきます。肉体労働はロボットが勝手にやってくれるようになるし、事務的な仕事はITの技術で簡単に処理してくれます。
つまり、今後ロボットに取って代わられる仕事やITによって簡略化されてしまう仕事はなくなり、なくなってしまう仕事をしている人は職を失ってしまいます。
『あなたの仕事は残る?2030年までに技術革新で50%の仕事がなくなる話』(リンク)でも紹介していますが、2030年までに技術革新によって今ある仕事の50%がなくなると言われている中で、今安定な仕事に就くという考え方は極めて危険なものであるということが分かると思います。
3.国外労働者や外国人労働者の増加
さらに追い打ちをかけるように既に現在では日本にいながら人件費の安い海外の労働者を雇うことが可能になっています。海外にいる優秀で安価な労働者とSkypeなどで海外の人とリアルタイムで情報共有できるたら、日本にいなくてもできる仕事で日本人をあえて雇う必要はありませんよね。
また、TPPによって海外の労働者が日本に大量に入ってきます。すると、今までは日本での就業環境は大きく変化し、就職の際の競争が激化し、自らが望む労働環境で働ける人は限られてきます。
- 日本国内の労働が海外に輸出される
- 外国人労働者の労働が輸入される
- 就業環境が激化する
こういった中で、早いうちから働くということについて考えずにいられるものでしょうか。これから先の社会がどのようになっていくのかを予測して行動していきましょう。
4.リストラの危険性
社会人になったら会社の倒産の危険もそうですが、リストラの危険も常に潜んでいます。NECやパナソニックの1万人規模の超大型リストラがあったのはまだ記憶に新しい気がします。
パナソニックに関しては、松下幸之助の経営哲学で終身雇用を貫いていただけあって、リストラが発表された時には多くの人が驚愕したことでしょう。年功序列の社会では年を経るにつれて給与も役職も上がりましたが、能力主義の社会では能力のない人は切り捨てられる可能性が高いです。
多くの人財を雇う大手では経営が不調な時期は人件費が固定費として経営を大きく圧迫します。このような場合、経費削減の対象として人件費が削られるのは真っ先に考えられることであり、高度化している経営システムを導入すれば人がいなくなっても事業が回ることも多いです。
リストラの危険性は大小に関わらず全ての会社に乗っかっています。経営する側からしたら、会社にとって不利益な人財をリストラするのは必然になってきます。
このように雇われる際には倒産もさることながら、リストラの危険性も忘れてはいけません。さらに言えば、職場環境が合わなかったり会社に入ってから新しくやりたいことが見つかる場合もあるので、一つの会社に留まるという考えを持ってしまうと会社に縛られた人生になってしまいます。
5.新卒は3年以内に3割辞めていく
これはとても有名な話ですが、就職先の会社が生き残っていたとしても、その会社で働き続けることができたとしても3割以上の新卒就業者が会社を辞めていきます。飲食業界に関しては50%を超えているようです。
以下厚生労働省への参照URL
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000101670.html
辞める理由は以下のようになっているようです。
多くの新卒者が様々な理由で辞めていくわけですが、グラフを見て分かる通りにほとんどの人が仕事がつらい系のことを理由に辞めています。この数字はどう考えても他人事ではありません。
ポジティブに辞めた後の算段がついて目的意識を持った上で辞めるのであれば良いですが、ネガティブに「もう働きたくない。」と辞めてしまうとその後の人生がさらにつらくなってしまうかもしれません。
詳しくは『新卒は3年以内の離職率が31%みたいだけど、今の大学生活どうする?』(リンク)で書いているので、興味ある方は読んでみて下さい。
因みに、事業所規模別の3年後の離職率はこのようになっているようです。
会社に就職する時は辞めた後のことも考えておこう
- 就職先の会社は倒産する可能性が結構ある。
- 労働はどんどん自動化と効率化されていく。
- 外国から来る労働者に仕事が奪われるかもしれない。
- リストラも起こらないなんて言えない。
- きっと最初に入社した会社を辞めたくなるだろう。
これらを考えると中々現実は厳しいと感じますね。でも、実際に起こっていることですから目を背けてばかりではいられません。現実は難しいからこそ生き甲斐があると思います。失敗や挫折を繰り返す先にあるものこそ手に入れる価値があるのではないでしょうか。
今後5年くらいの安定を望むなら大手企業に入って適当に社会人生活を過ごせば良いですが、10年後のことを考えるとそうはいきません。会社はなくなるかもしれない。辞めさせられるかもしれない。辞めたくなるかもしれない。
会社に入って実際に働いてみないとうまくやっていけるのかどうかなどは分かりません。会社に入る際には辞めた時にどうなるのかも考えておくと少し余裕を持った社会人生活を送れるのではないでしょうか。