この記事を書きながら就活生に必要なコミュニケーション能力とは何かについて少し考えてみたところ、一つのシンプルな結論に行き着きました。
それは、
就活生にとって必要なコミュニケーション能力とは、あなたの印象を「+」にするための力である。
ということです。様々な形で言われているコミュニケーション能力ですが、シンプルにするとこうなりました。ちょっと解説していきますね。
コミュニケーション能力の4大要素
まず一般的に言われているコミュニケーション能力の4大要素についてです。
- 説明する力:正確に情報を伝達する力
- 質問する力:疑問に対して適切な質問をする力
- 理解する力:相手の意図を理解する力(聴く力)
- 協調する力:他人に合わせる力
このように言われますが、就活という面から見ると少々分かりづらいですよね。
なぜ分かり難いのかというと、結局は各々の判断による程度問題なので「どう判断すれば良いか分からない」からではないかと思います。さらに、企業が学生にコミュニケーション能力を求めているといった場合には、それぞれの意図を読み取った上での解釈をしなければなりません。
説明する力一つとっても、情報の正確さを示すには5W1Hを踏まえた最低限の情報と表現力(分かりやすさ)、論理的であること(正しさ)が求められます。
表現力には語彙力や整理する力なんてのも入りますし、論理的であるには筋道立てた主張というだけではなく、アイデアの有用性や主張の根拠となるデータと解釈が必要で、そこからデータの信憑性やクリティカル性なども問われます。
「あなたはどこまでコミュニケーション能力がありますか?」と聞かれても、答えられる人は良いですが多くの学生は悩んでしまうのではないかと思います。
因みに、Wikipediaには以下のような説明がされています。
- 『言語による意志疎通能力(#言語学用語の「Communicative competence」を参照)。「コミュニケーション能力」という言葉は、元々は言語学の分野で用いられた学術的な用語であった。
- 感情を互いに理解しあい、意味を互いに理解しあう能力。感情面に気を配って、意味をわかちあい、信頼関係を築いてゆく能力。
非言語的な要素(相手の表情、眼の動き、沈黙、場の空気など)に十分に注意を払うことで、相手の気持ちを推察する能力(非言語コミュニケーション)- 上記の非言語的な要素により知った相手の気持ちを尊重して、相手に不快感を与えないタイミングや表現で、自分の感情や意思を相手に伝える能力
- 意思疎通、協調性、自己表現能力(厚生労働省による就職基礎能力の定義)
- 社会技能(ソーシャルスキル)。暗黙知。
- 上手にコミュニケーションを行うための体系づけられた知識、技術(コミュニケーションスキル)
- 合意(コンセンサス)形成能力
- 「論理的コミュニケーション能力」(自己の考えを論理的に明確に、相手に表現する能力)
- 会話のキャッチボールを上手く行える能力
- 企業が求人広告等で応募者に要求している「コミュニケーション能力」は、ビジネスシーンにおいて発揮が期待される精選された「折衝能力」「交渉能力」「説得能力」を指しており、必ずしも対人コミュニケーション一般を円滑におこなうスキルをもって満足するものではない』
コミュニケーションの目的は何か
少し視点を変えてみましょう。企業活動におけるコミュニケーションの目的とは何なのでしょうか。
それは基本的に以下の3つです。
- 関係構築
- 情報伝達
- 行動促進
それぞれ解説していきます。
1.関係構築
会社に入ると社内の人間は基本上司ですし、中には40代・50代の方 々もたむろしています。中には年齢だけで偉そうにしている方もいるかもしれませんし、生理的に受け付けない人もいるはず。
逆に社外の取引先にも高齢の方や性格的に合わない方がいます。でも、利害関係があるのでそう簡単に険悪な関係になっては自分にとっても会社にとっても不利益が生じる可能性があります。
多様な人間が混じり合う社会を上手く回していくには、良い人間関係を築く力が求められます。
就活では主に、挨拶・言葉遣い・マナー・外見・ボディランゲージが見られています。
2.情報伝達
仕事は会社の信用ベースで進んでいきますが、現場では人同士のコミュニケーションによる信頼によって進んでいきます。
そんなビジネスでは情報伝達のミスによって金銭的な損失を被ることも少なくありません。きちんと議事録をとれていないと、「言った言わない」なんて子供じみたケンカが生じることがあります。
そのため、論理的かつ正確な情報伝達能力が必要です。
就活においては、以下の内容が判断材料になります。
- 質問に対して的を得た回答ができるか
- 意図した情報が正しく相手に伝わるか
たいていは論理的思考力がないと厳しく、文脈を理解した発言ができるか見られています。
3.行動促進
話したり聞いたりしているだけでは仕事は進んでいきません。情報をもとに判断・行動することが必要になります。
経営会議・企画会議・プレゼン・取引先との打ち合わせ…このような状況を考えれば分かると思いますが、相手を説得して判断と行動を促すコミュニケーションがなければ仕事が有利に進みません。
日本人はこのコミュニケーションが苦手ですが、行動促進力は仕事を成功に導くためには特に重要です。
(これができていないと「いなくても良い存在」になりがちですし、仕事が思い通りにいかずにフラストレーションが溜まっていきます。)
就活では、自分の意見を魅力的に伝えられるかが見られていたりします。
とはいえ、採用では印象が大事
ここまでコミュニケーション能力とは何なのかについてまとめていきましたが、短い面接時間で就活生が社会で役立つコミュニケーション能力を持っているかは正確に分かりません。
メンタリストのDaiGoさんが言ってましたが、採用するかどうかはその人の「印象」で決まるようです。面接官は合理的に判断していると思っていても、実際は「印象で判断している」そうです。
というわけで、就活時に必要となるコミュニケーション能力とは、採用担当との対話によって「あなたの印象を「+」にするための力である。」というのが私の見解です。
採用を決めるのは人ですから、
- この人と一緒に働きたい
- 会社に良い影響を与えそうな人材だな
- なんて優秀な人材なんだ
と思わせることができれば採用される確率が高まります。
となると、印象を第一に考えた時には、
- 説明する力
- 質問する力
- 理解する力
- 協調する力
といったコミュニケーション能力の高さで競う必要はありません。(もちろん、最低限のものがなければ話になりません…)
イメージとしては印象によって評価がこんな感じ↓に変わります。
- 印象が良い場合:内容は60点→実際の評価は80点
- 印象が悪い場合:内容は60点→実際の評価は40点
※印象が悪いと能力が高くても採用されません。
印象の決定要因は主に「プロフィール(技術・経歴・口コミ・体験)」・「見た目(顔立ち・体型・姿勢・服装・表情)」・「態度(気品・マナー)」・「トーク(声・話し方・内容)」の4つです。
中でも面接での第一印象は見た目が9割。また、見た目の中でも顔の表情が印象を大きく左右します。(この辺はいずれまとめます。)
採用担当の多くは自分では就活生の能力を正当に評価していると考えていても、結局のところ何となくで採用を決めています。なので、人材価値が高いであろう自分の印象を演出するのが良いわけです。
印象を良くするために…
一応言っておくと、就活マニュアルに載っている通りに頑張って「量産型就活生」を演じるのは愚策です。みんな同じなら誰でも良いですもんね。
良い印象を持ってもらうために大事なのはやはり実践経験に尽きます。意識して普段から色んな人と話すことでこういった力が身についてきます。
第一印象はハロー効果で就活生の背景情報まで相手に想像させる力があるので、採用が欲しいなら見た目、話し方、ちょっとした立ち振る舞いといった部分を工夫するのが効果的です。因みに、残念ながら顔が良い人の方が有利です。
企業にとって必要な人材は社風や職種、状況によって違います。もちろん見た目は単なる要素でしかないので、自分なりに工夫して採用担当とのコミュニケーションをとっていきましょう。
※今回は就活生が就活で採用を得るために必要なコミュニケーション能力についての記事なので、社会に出た後に求められるコミュニケーション能力とは少し違います。また、スキルの求められる現場でそれがない場合は論外です。