就活がなかなか上手くいかずにストレスが溜まり、鬱になってしまう就活生が増えているそうだ。
NPO法人POSSEの調査によると就活生の7人に1人はうつ状態であるという情報もあり、かなり深刻な問題であるようにも見える。
うつ状態になるとあらゆることに対する意欲低下に加え、睡眠障害などの様々な症状を引き起こす。
思いつめて「頑張りたいのに頑張れない」と就活に十分な集中が出来ずに結果がなかなか出ず、時間が経つにつれて症状が悪化していく。
今回は多くの就活生が抱えている就活うつ病問題について、原因や対処法など詳しく見ていく。
- 就活うつとは?
- 就活うつってどんな人がなるの?
- 就活うつになったらどうすればいい?
※うつ病は一日中気が落ち込む状態が続く精神障害が、抑うつ状態と元気に振る舞える状態が交互にくる双極性障害などもあり、それぞれ区別はしないで就活期間に気分が落ち込む状態が続く症状を「就活うつ」という言葉を使って説明していく。
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【完全版】就活うつ問題|「内定とれない、疲れた、もう死にたい」
就活うつとは?
『「就活うつ」とは、就職活動(以下、就活)を経験した学生が就活の失敗や行き詰まりに起因する強度のストレスでメンタルヘルスに不調をきたし、抑うつ状態に陥ったり、うつ病を発症したりすることをいいます。就活の激化・長期化に伴って急増し、症状が重い場合は、引きこもりや自殺にもつながりかねません。就活経験者の七人に一人が「就活うつ」を患っているとのデータもあり、事態の広がりや深刻さから社会問題になりつつあります。』日本の人事部|就活うつ
要は就活が原因で引き起こされる気分が落ち込んだ状態のこと。うつ病と診断される就活生も多いようなので、うつ病に関しても見ていく。
うつ病とは?
『うつ病(うつびょう、鬱病、欝病、英語: Clinical Depression)は、気分障害の一種であり、抑うつ気分、意欲・興味・精神活動の低下、焦燥(しょうそう)、食欲低下、不眠、持続する悲しみ・不安などを特徴とした精神障害である。』Wikipedia|うつ病
うつ病になると、就活だけでなく日常生活に異常をきたすレベルで思考力が低下して何もやる気がおきず、長い間無気力状態が継続する。
ストレス社会では、10~15人に1人がうつ病になるともいわれており、心配や過労、ストレス、孤独感などが引き金となって引き起こされる病気だ。
日本労働組合総連合会の『就職活動に関する調査』によると3人に1人の就活生が「自分は価値のない人間なのではないかと」不安を抱えていて、就活うつの就活生が多数いることが容易に予想できる。
人によっては内定がとれないことで、人生に絶望して自殺を考えることもある。
就活うつの症状
就活うつの症状はざっくり以下の4つに分類される。
感情・気分障害
- 常に不安や焦りを感じる
- 楽しいと思えることがない
意欲障害
- 就活に対する意欲が出ない
- 何もかも面倒に感じる
- 他人との接触を避ける
身体障害
- 食欲がない/食べ過ぎる
- 睡眠不足/過眠といった睡眠障害が起きる
- 慢性的な体調不良に陥る
思考障害
- 思考力が低下する
- ネガティブな思考を繰り返す
これらの症状のほぼ全てが当てはまっている場合、就活うつの可能性が高い。自殺願望や自傷行為が現れかけたら危険な状態なので、就活なんてものはやめて精神科に通うのが一番だ。
就活うつの注意点
採用担当は就活生をなんとなくの印象で判断している。意識的に評価できる能力や外見、振る舞いといった要素もあるが、無意識に細かな表情の変化や血色、瞳孔の開き具合、声の周波数なども見ている。
気が落ち込んでくると無意識に表情が強張り、塞ぎ込んだ目となり、声の周波数は低下して、相手に自信のない印象を与えてしまう。
また、うつ状態が続くと前頭葉の働きが低下することで思考が鈍り、コミュニケーション能力も低下する。
これでは就活が上手くいく確率は低くなり、悪循環で精神不安が増大していく。「気が落ち込んで体がだるく、やる気が起きない」ような状態では、就活を続けることよりも体調を改善させることを優先すべきだ。
就活うつになりやすい性格
- 真面目で誠実
- 完璧主義
- プライドが高い
- 自責的である
- 優柔不断
- 気が弱い
- 高学歴・成績優秀
- コミュニケーションが苦手
- 自分と他人と比較してしまう
- 脅迫観念を抱きがち
これまで親に怒られた経験も少なく、真面目で優秀な人ほど就活うつになりやすいと言われている。新卒就活では3月の卒業までに内定をもらうというタイムリミットがあり、早い順に抜けていくシステムとなっており、焦りや不安からどんどん気が落ち込んでいく。
就活うつ病になる原因
- なかなか内定をもらえない
- 友人が次々と内定を獲得していく
- 他人の期待に応えられない
- これまで大きな失敗経験がない
- 精神的・身体的な疲れ
- 悩みを人に話せない
- マイナスの情報に流される
- ストレスの発散先がない
- 特にやりたいことがない
- 金銭的問題を抱えている
身体的・精神的に過剰なストレスがのしかかり、マイナスの思考を毎日繰り返すようになってくるのは危険な兆候である。
もし、どうしても気分が落ち込み続けるなら…
- 休息をとる
- 精神科に通う
- 運動する
- 就活をやめる
何よりも大切なのは、何度やっても上手くいかないことに対して同じことを続けていても気分が落ち込んでいくだけであり、現状の中にはない行動を取り入れることだ。
いつもやっていることではなく、いつもやらないことに目を向けてみてくれ。
最後に
私は、脅迫観念が就活うつを生み出している大きな原因だと考える。
この脅迫観念は非常に怖くて、例えば「末期ガンだと誤診された患者が、間違って宣告された余命よりも前に亡くなる」という現象があり、認知バイアスが脳に直接作用し健康にも影響することが分かっている。
これと同じで
- 卒業までに内定をもらわなければ負け組だ
- 親のためにも良い会社に就職しなければならない
- 就職できなければ奨学金の返済で人生が破綻する
といった思い込みをしていると、それを連想させる状態が現実に引き起こされた時に、認知バイアスによって目の前の現実をその方向に歪めて認識してしまう。
就活で上手くいくかどうかなんて世界に比べればちっぽけな問題なのだから、そんなものに拘って落ち込む必要はない。