自由な人生を歩める?学生起業のメリット・デメリット

学生起業のメリット・デメリット

もしあなたが「起業に興味がある」「将来的に自分の会社を作りたい」と考えているのであれば、学生のうちから起業することには大きなメリットがあります。

  • 朝の9時から夜遅くまで勤務しなくても困らない
  • 金銭的に豊かで不安がない
  • 年末年始・ゴールデンウィーク・お盆以外も自由に休める
  • 理不尽な転勤を強要されない

このような働き方を実現するのは、起業、つまり自分で会社を作って、経営者になることが一番の近道です。学生のうちから起業することは、かつては非常に珍しいものでしたら、現在では日本においてもかなり増えてきました。

それでは、学生起業のメリットとデメリットについて、以下で考えてみたいと思います。


起業の定義

まず、起業の定義についてです。ここでの定義は「誰かに雇われているのではなく、個人または自分が作った会社の経営者として、お金を稼ぐこと」とします。

起業するといっても、必ずしも会社を作る必要はありません。例えば、大きな組織を作らずに、個人単位で仕事をしていくのであれば、「個人事業主」の登録をするだけでビジネスを始めることができます。これも立派な起業です。

逆に、将来は大きな組織にしたいと考えるのであれば、株式会社合同会社などの「会社」を設立するのが一般的です。投資家やベンチャーキャピタルから出資を受ける場合も会社が必要です。

学生起業のメリット

1.学生だから「応援」してもらえる

学生起業が増えてきたからと言って、実際に起業する学生はせいぜい1%-2%程度ではないでしょうか。まだまだ一般的と言うレベルではありません。これだけ少数だと「大学生で起業しているのか、すごい、頑張って」と、それだけで応援されやすいのです。

ちなみに、ビジネスにおいての「応援」とは、「何かしら仕事を発注してもらうこと」だったり「人脈を紹介してもらう」など、ビジネスにおいて直接的なメリットがあることです。

例えば年長者の先輩経営者などは「学生なのに起業して、頑張っているみたいだし、ちょっと仕事を出してみるか」と、弟分を可愛がるような気分で仕事を出してくれることもありますし、「この人は多方面に詳しいから会ってみるといいよ」と紹介を受けることもあります。

2.学生だから「多めに見て」もらえる

学生起業の経営者は、「勢いと情熱」またはいい意味での「根拠のない自信」を持っているパワフルな存在であることが多いですが、ビジネスの常識を知らないことがよくあります。

もし30代以降の人が、ビジネスの場において、常識のない振る舞いをしたら「あいつは、常識がない、だめだ」という烙印を押されてしまい、その後ビジネスの付き合いがなくなってしまうことすらあります。

しかし、ビジネス常識のないふるまいをしたのが学生起業家であれば、先輩経営者や取引先は「あいつは学生だから、まだまだ分からないことだらけだから仕方ないな」と多めに見てくれることが多いのです。

また父や兄のように「ビジネスの常識ってのはなあ…」と教えてくれることさえあるでしょう。先輩経営者や取引先から、本音でぶつかってもらえる機会は多くないので、こうしたチャンスを得られるのも学生起業ならではです(ただ、こうした「教育」はときに「長時間の説教」になるため、要注意でもあります)。

3.就職するとしても経験として使える

学生起業したが、自分で作った会社を続けずに就職するという学生は多くいます。そして、こうした学生は就職活動において圧倒的に有利です。

何故なら、就職活動で面接を行う面接官や人事担当者は、サラリーマンとして会社に勤務したことがない人がほとんどだからです。サラリーマン経験しかない人は、「自分で会社名を考えて登記して商品を考える」ような経験や、「毎月の費用に四苦八苦し顧客からの入金タイミングに冷や冷やする」といった経験が皆無なのです。

よって、学生起業して、それなりにしっかり事業をやったという経験はそれだけで高く評価されますし、ある種の敬意を持たれることもあります。

また、ライバルとなる他の学生と比べても圧倒的に有利です。「サークルを一生懸命やっていました」という学生と、「実際に事業をやってきましたが、これこれの理由で就職しようと思います」と言う学生では、話の厚みに決定的な差があります。

学生起業をしてきた人の話は、ビジネス経験そのものだからです。よって、日本経済新聞を読んだり流行しているビジネス書を読んで「ビジネスとは」と机上の空論を言っている学生は、全く違う立場に立てます。

また、就職したい企業のトップが創業者だったりオーナー社長で、彼らが最終面接する場合は、年数の長さこそ違え同じ会社経営を経験したことがある人同士となります。

創業者やオーナー社長は、若い人とは言え「経営者経験がある人」を大変に好むことが多いので、社内でよいポジションに抜擢される可能性も高くなります。

4.就職後に再び起業するときもスムーズ

学生起業したが、なかなかうまくいかなかったので会社を閉じることにした、という人は実はかなり多くいます。こうした学生は普通に就職活動をして、企業に入ってから、学べるものをたくさん学んだ後で、再度起業するという人が多いです。

もちろん、学生起業時の経験に加えてサラリーマンとして勤務した経験、そして学生起業時代の人脈を併せ持っているので、再度起業してからの成功確率はずいぶんと高まります。

私の友人で、Web制作で学生起業した友人がいます。彼は学生起業した時は、とにかく仕事をたくさん取ってきて、それをWeb制作者に依頼してホームページやアプリを作るという仕事をしていました。最初の一年は好調でしたが、二年目にやや大きな取引をする際に契約書のチェックをあいまいにしたために、納品物トラブルにより顧客から入金がされず会社をつぶしてしまうことになりました。

しかし、再び起業するという強い意思を持ったまま、大手商社に就職し、「契約書のレビュー」「契約前の交渉」「キャッシュフローの管理」「外注先への支払い条件」「顧客への分割納品・分割請求」「外注先の比較検討」といったリスクを減少させるためのノウハウを吸収し、再び起業して現在は順調に経営しています。

5.もし大当りしたら、仕事内容的にも収入的にも恵まれた人生

学生起業で1発目に大当たりする人はほとんどいません。しかし、ごくまれにではありますが、大当りを引き当ててしまう人がいます。こうした学生経営者は、大学卒業後もそのまま経営を続けて、上場または会社の売却というゴールまでたどり着いてしまうのです。

会社を上場させて引き続き経営してもよいですし、会社を売却して巨額の資金を手にして「投資家」にジョブチェンジしても良いでしょう。いずれにせよ金銭的にも豊かで、仕事内容的にも大変面白い人生を手にすることができます。

では、具体的にはどれだけメリットがあるか比較してみましょう。

    年収

  • 大卒サラリーマン平均:483万円(2015年厚生労働省資料より)
  • 高所得サラリーマン:1000万円~1500万円程度
  • 起業家・経営者:上限なし(数千万円、数億円の場合も)

    退職金

  • 大卒サラリーマン:数千万円
  • 起業家・経営者:0〜数千万円、数億円の場合も

    会社売却益・株式上場益

  • 起業家・経営者(創業メンバーも):億単位の金額となる場合も

サラリーマンでは、給料は入社年数などによりおおむね決められており、いくら頑張っても給料が急上昇することはありません。これに引き換え、起業家・経営者は給料(役員報酬)を毎年自分で決めることができます

会社が順調に儲かっていれば、給料を月200万、300万にしても誰も文句は言わないのです。

また、給与(ボーナス含む)以外の収入ですが、ほとんどのサラリーマンには退職金しかありません。しかし、企業経営者の場合、会社を売却する、会社を上場させるといった大きなタイミングで、何千万円ではなく、何億円、何十億円といった金額が入ることすらあります。

学生起業のデメリット

次に、学生起業のデメリットをお伝えします。

1.学習や研究の時間がなくなり卒業できなくなる可能性がある

起業してはじめての仕事を請けた段階から、学生起業家の人生の中心は仕事となります。仕事とは「労働や成果物の対価としてお金をもらう」ことですので、大きな責任が生じます。よって、起きている時間の大部分を仕事に充てている学生起業家も多いのが実情です。

そうすると必然的に、学習や研究の時間や授業への出席がおざなりになることが増えます。多くの学生起業家が大学を中退していることもその理由の一つです。例えば「ホリエモン」の愛称で有名な堀江貴文さんも、学生起業した結果として東京大学を中退しています。

2.友人との時間がなくなる

起業して仕事に打ち込むことで、付き合う友人は確実に変わります。例えば、これまでは「学校」「授業」「サークル」「バイト」が中心だったのが、起業後は「仕事」「納期」「入金」「トラブル対応」が中心になるので、話が合わなくなります。

もちろん、起業後に広がる人脈や仕事仲間との関係は別種の素晴らしさがありますが、起業しない友人との関係は希薄にならざるを得ません。

3.負債を抱える・倒産するリスクがある

負債について、一般的なケースを考えてみましょう。例えば物販業です。売れそうな商品を仕入れようとしたが、自分のお金だけでは足りないので借金して仕入れた。しかし、仕入れた商品は全く売れず、商品の在庫だけでなく借金も残ったという場合です。

借金をした相手が家族であれば、支払いを猶予してくれるかもしれません。しかし、金融機関などから借金した場合は、必ず返さねばならない責任が生じます。

最悪、「自分の会社で作った借金を返済するために、アルバイトをしなければならない」という事態になる可能性もあります。

特に、以下のようなビジネスはリスクが高いといってよいでしょう。

    商品を仕入れて販売するビジネス(在庫が必要)

    カフェや飲食店などの場所を借りるビジネス(賃料人件費など固定費が高い)

    他社商品の代理店など利幅が薄いビジネス(ちょっとしたトラブルですぐ赤字になる)

もし、会社として負った借金を払えない場合は、会社を倒産させるを得ないことになります。もし、会社の借金を代表者が個人保証している場合には、会社がなくなったにもかかわらず、借金を払い続けないといけなくなります。これは大きなリスクとなります。

学生起業に必要な素質・能力は何か

以上、お読みいただいて、「学生起業のメリットとデメリット」についてご理解頂けたかと思います。もし「学生起業をしてみたい」という人がいたら、どのような素質・能力が必要かについて見ていきましょう。

1.ビジネスが好きで長時間熱中できる

当たり前かもしれませんが、学生起業をする上で一番の強みは「ビジネスのことが好き」で、かつ「長時間熱中して仕事ができる」ことです。

学生のうちは、いくら学校が忙しいといっても、社会人の忙しさに比べるとずいぶんと時間的な余裕があります。よって、この時間を全てビジネスに突っ込んで、長時間ひたすら熱中して働くことです。

特に、ベンチャーキャピタルから投資を受けたいと考えている人は、最初に作る自社の製品なりサービスがとても重要です。ここにたどり着くまでにはひたすら仕事をしまくることが必要になります。そして、学生であれば、打ち込める時間を確保しやすいのです。

2.神経が図太い

実は、これが学生起業における一番の素質ではないかと思います。「学生だから」「無名だから」と自分を卑下するのではなく、「私(私たち)は、とても面白いことをしようとしている学生です」と誰に対しても自信を持っていられるか、という点です。

もちろん大企業と比較すると、「お金・人材・知名度・技術力もない」と、足りないものだらけでしょう。しかし、そうしたデメリットを気にせずに、胸を張って進める神経のずぶとさ、ある種の鈍感さが必要となります。

3.色々な人と会うのが好き

仲の良い友人とした付き合わない、という閉じた人間関係を好む人よりは、「面白い人であれば、色々な人と会いたい、話をしたい」という人の方が学生起業には有利です。

人脈とは、すなわち営業のチャンスだったり、採用のチャンスだったり、または何かしらの提携をするチャンスだったりもするためです。

もちろん、全ての経営者がそういったタイプというわけではありません。ただ、創業時に「人と会うことが好き」というメンバーが1名いると、会社として広がりを持てることは間違いありません。

4.年上に好かれる

ソフトバンクの孫正義さんが成功した理由の一つは、「ジジ殺し」だったとよく言われています。つまり、孫さんは年長者に大変に愛される素質を持っていたということです。

事業家としての情熱、礼儀正しさ、謙虚さなどが相まって、「ジジ殺し」という言われるようになったではないかと推察します。

もし学生起業を志すのであれば、1歳2歳上の人ではなく、10歳・20歳・30歳上の年長者に愛されるような考え、行動をとれることは重要です。

5.プログラミングできる

大企業と比べると、学生はお金を多く持っていません。よって、大金がなくてもできるビジネス、そして利益率が高いビジネスを目指すのが一般的です。ここで一番強いスキルは、「自分でプログラムが書ける能力」となります。

例えば、スマホのアプリの開発を請け負って、30時間の労働で30万円稼いだ場合、1時間あたり1万円を稼いだことになります。もちろん、商品を仕入れて在庫する必要もないので、売上がほぼそのまま利益になります。

「将来は会社を上場させたい」といっても、いきなり何もない段階でベンチャーキャピタルが出資してくれるわけではありません。何か外部からお金を調達するためには、「自社で開発した製品・サービス」が必要になります。こうした製品・サービスを開発するのは、一般的にはプログラマーなのです。

よって、自分がプログラミングのスキルを上達させるか、創業メンバーとしてプログラマーに加わってもらうことは非常に重要となります。

学生起業を目指そう

学生起業は、作った会社の経営を続けたとしても、会社をたたんでしまったとしても、長い人生で見るとメリットが大きいと言えます。

もし学生起業を目指すのであれば、上記の素質や能力を身に着ける、または既に持っている人たちと一緒に企業をすることをおすすめします。

ぜひ、学生起業を通じて、よりよい挑戦的な人生を歩んでください。

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